看護学校のあゆみ 聖路加看護大学・1
時は流れて(創立から昭和10年まで)
前田 アヤ
1
1聖路加看護大学
pp.53-57
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908826
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はじめに
時の流れとともにいろいろなものが変わってゆく。学問が発達し月への旅行さえも可能になりつつある。世界との交流が瞬時にでき,情報が容易に受け取れるようになった。このことによってさまざまな現象があらわれている。日本人特有の美徳とされたもの,日本人固有の特技とされていたもの,日本人だけが伝統の誇りとしてもっていたものがだんだんと外国のものとおきかえられ,人も社会も自然さえも変わりつつある。日本女性の三従の徳はもはやその影さえなく,日本人のみが誇りのようにもちこたえてきた孝なるものも消えさり,親は年を取れば養老院へいくのが常識のようになった。父母に孝に,君に忠にと,幼少の時から忠孝の精神を柱として心をみがき,知を広め,技を練り,ひたすらによき日本人,よき社会人となるための修練に耐え,家庭も社会も一致して子女の教育に努力したものであった.
昔の女学校の教育日標は,一般に良妻賢母をつくることであった。女性は嫁にゆき家を守るようにと育てられ,しつけられ,教育され,世間もそれがあたりまえだと考えていた。
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