連載 教育心理学講座・5
教育の場における人間関係の心理
北尾 倫彦
1
1大阪学芸大学
pp.59-62
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908827
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
教室の中には,教師と数多くの生徒がいる。彼らはお互いに心理的影響を受けながら行動し,その過程において教育が進められていくのである。まず生徒たち相互の間にいろいろな心理的関係が成立しているであろう。仲のよい者同志が好ましい友情で結ばれているかと思うと,その好ましい関係をねたみ,反発する者もある。このように,いろいろな種類の心理的関係が複雑に交錯している中に,教師と生徒の間の師弟関係が介入し,その師弟関係を通して教育がなされるのである。
したがって,望ましい教育が効果的に進められるためには,上述のような人間関係の心理学的ダイナミックスを正しく理解していなければならない。集団内における人間関係の問題は一見不可解な様相を呈し,しかも場面場面によって変化するようにみえるが,その中にも人間心理の本性に根ざした基本的な特徴があるはずである。その特徴のいくつかについて説明しながら,教育指導のためにいくらかでも役立ちうる知識を求めてみよう。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.