保健婦学生への精神保健教育に関する一考察—養成課程の改正をめぐって

はじめに

　公衆衛生のレベルが上がり，経済的安定が得られた現在，地域住民の健康意識は高まり，保健婦活動にも質の向上が求められている．現在の保健婦活動の最大のテーマは，高齢化社会の到来に伴う老人問題対策と，社会の急激な変化の軋みのなかで高まっている精神保健問題に対する援助活動であろう．

　時代と社会の要請にこたえるために，厚生省では地域保健の将来構想が検討され，社会福祉士や介護福祉士等の新しい専門職が誕生し，看護婦，保健婦，助産婦の教育課程も改正された．地域の第一線の現場で，保健・健康問題に長年取り組んできた歴史を持つ保健婦活動だが，取り巻く環境に大きな変化が認められる現在，時代の要請にこたえ，地域住民の1人1人に満足のいく対人サービスを，提供できる教育がなされているだろうか．