調査研究
看護教育における教育学の位置づけ
吉田 幸江
1
,
高村 寿子
1
,
中村 清
2
1自治医科大学看護短期大学
2宇都宮大学
pp.674-681
発行日 1989年11月25日
Published Date 1989/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908713
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はじめに
看護の役割が,疾患に対するケアからその人の生活に根ざした看護へと転換が求められ,対象である人間を全人的にみるという看護の原点が,今,改めて問われてきている.看護学がヒューマン・ケアを科学する学問と言われる所以であり,そのためには人間理解が不可欠であることは論をまたない.このように看護学がヒューマン・ケアを指向する限り,急ピッチで高度化・専門分化する,医学・看護の知識・技術はもちろんのこと,人間の一生を通しての人間理解と,看護に携わる看護職自身の人間形成のための教育体系が重要である.
この教育体系の具現のためには,一般教養から専門教育までの幅広い領域の学問が必要であるが,中でも人間をより深く理解し,学習という営みの原理的理解を学ぶ教育学の意義は大きい.しかしながら,現在および今回のカリキュラム改正を概観する限り,一般教養科目における教育学の必修指定はなく,各看護学校(短大・大学)が,その教育目標に応じて選択するよう,指示されているにすぎない.
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