特集 これからの医療とPOS—第8回POS研究会報告
Ⅲ.シンポジウム1‘POSと医療システム’
天動説としてのDOSに対する地動説としてのPOS
松岡 順之介
1
1北九州市立小倉病院
pp.901-902
発行日 1986年12月30日
Published Date 1986/12/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908317
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空を見上げる人間の住む大地が宇宙の中心で,天球が大地を中心に回転するという‘天動説’はギリシャのトレミー(BC127〜151)の時代に完成し,中世まで支配した.ギリシヤ時代にもアナクサゴラス(BC500〜423)やアリスタルコス(BC320〜250)など地動説の考えをもった学者がいるにはいたが,それは例外で,実際に科学者としてはポーランド生まれのコペルニクスニコラス(1473〜1543)がその死の年に‘天球の回転について’を出版したのが最初といえる.彼はすぐ死んだので,社会の反響を受けなかったが,その後イタリアのブルーノ(1948〜1600)はこの説を唱えたため異端として火あぶりの刑をうけ,このあとガリレオ・ガリレイも宗教裁判にかけられた.生命惜しさに裁判の場で‘太陽が動く’と言った後,外に出て‘それでも地球は動く’と言ったといわれているが,地動説は権力者の立場を傷つけるものでなかなか社会に認められず,その後ケプラーの法則に基づいてニュートンが万有引力の法則を発見し,ドイツのベッセルが19世紀の半ば‘惑星の年周期’を説明して完全に証明されるまで,300年を要した.
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