連載 人間関係論 より豊かな共生を・7
人間関係の国際比較―親子の対話を中心に
服部 祥子
1
1大阪人間科学大学精神科
pp.146-149
発行日 2002年2月25日
Published Date 2002/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903148
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人間関係のもち方とありようは,国により,民族・文化により,また時代によりさまざまな特性をもつ.同じ民族,同じ時代にあっても個人のレベルでみると,必ずしも共通に論ずることはできないケースが多々ある一方で,情報の驚くほど広範かつ迅速な手段が発達した現代,世界は実に狭く近く,もはや個々の特性をもち得ないほどである.しかし,それでもまだ日本には日本の,アメリカにはアメリカの,といったそれぞれの個性が失われてしまったわけではない.グローバル化の進む今,人間関係の国際比較というテーマをとりあげ,変わりゆく様相も含めて考えてみたい.
本稿では,筆者が居住した経験をもつ2つの国,アメリカ,ロシア(旧ソ連)と日本の3か国をクロスカルチュラルなアプローチで眺めることにする.米・露はかつての東西世界の領袖であっただけに興味深い国である.しかし,人間関係といってもあまりに広く,とらえがたいので,人間関係のなかでも親子関係,とくに「対話」に視点を向けてみようと思う.なぜなら,対話は2人の人間が向かい合って話すことであり,そこには関与する2人の人間の関係性がもっともよく見えるからである.また両者の通い路には言語性,非言語性のコミュニケーションが不可欠で,関係性の結び方が浮かび上がってきやすい.さらに,対話のあり方から逆に親と子の人間関係のありようも浮かびあがるという利点もある.
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