教育学入門講座 教育・学習のしくみとはたらき・13
生涯教育について
森部 英生
1
1群馬大学
pp.516-522
発行日 1986年7月25日
Published Date 1986/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908263
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生涯教育のアイディア
■孔子とハヴィガースト
“論語”為政編に有名な一節がある.‘子曰く,吾(わ)れ十有五にして学に志す.三十にして立つ.四十にして惑わず.五十にして天命を知る.六十にして耳順(したが)う.七十にして心の欲するところに従うて,矩(のり)を踰(こ)えず’.これを,‘孔子は14歳まで学に志さなかった.69歳まで心の欲するところに従えば矩をこえた’というふうに,反対解釈する向きもあるが1),通常は次のように解釈される.‘孔子の言葉.わたくしは,15歳の時から学問に志し,30歳になって自分の立場を持ち,40歳の時に確信を持ち,50歳になって天命を知った.60歳になって人の言葉がすなおに聞かれ,70歳になると心の欲するままにふるまっても道をはずれないようになった’2).孔子は74歳で死んだが,この言葉は,彼が晩年に自分の人生を振り返ったときの精神史であり,同時に,一生の各時期に人はどのようであるべきかを示した人生訓ともなっている.
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