鏡下咡語
生涯教育
梅原 亨
pp.134-135
発行日 1982年2月20日
Published Date 1982/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209400
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学科も健康も他人まかせとなる教育
私は,近時「学校保健」に関与することになり,児童生徒の健康教育にとりくむことになった。現在の学校教育が「学校」という制限された期間,環境における教育に始終していることに驚く。児童生徒は,学校生活において,「健康」のためにいろいろな衛生的しつけ,習慣を教えられている。そして学校という期間内において忠実にこのしつけを守っている。洗面や歯みがき,手洗等をはじめ実施されている。早朝の乾布摩擦や薄着習慣も行われている。しかし,これらの健康教育も学校生活のみであり,日曜日,祭日等の休日には家庭では不実行となることが多く見られる。子供達はこれらは学校の行事だと認識して,自己健康のためだという考えは甚だ稀である。それでよいのだと思っている。
「学校保健」というものは,先生や両親や,学校医,薬剤師のためのものであり,子供等にとっては,何物でもないようだ。子供達の生涯健康への指導には,子供等は不在であるということになる。
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