連載 看護学教育を考える・13
W. モラエス“おヨネとコハル”が語りかけているもの
久保 成子
1
1善隣基督教会付属尾竹橋准看護学院
pp.436-437
発行日 1983年7月25日
Published Date 1983/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907845
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初めに,少々長くなるが次の文章を読んでいただこう.1916年夏,1人の外国人が観察した日本の個人病院の光景である.
筒袖をしぼって,ヨーロッパふうの白い服を身につけ,頭のてっぺんにつばなしの白帽をのせて,埃だらけの廊下の床で足をまっ黒にして,楽しそうにしゃべりあっている看護婦の群れは,いかにも,ものものしげな顔つきになって,はっきりとした目的もないのに,こちらの側から,あちらの側へと,次々に部屋を廻っていく.日本ふうの絹のキモノを着て,日本の酒やご馳走を給仕したり,どこかの‘ちゃや’の座蒲団に坐っていたりしているあの可愛い女たちは,実に,優美で綺麗である.今,目の前にいる汚ならしい服を着て偉ぶっているあの女たちは,あまりいい感じがしない.
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