今月の話題
エイズ患者の命をこめた語りかけ—ビリー・ハワードはカメラで人間の深遠性をとらえた
飼牛 万里
1
1グローバリンク
pp.238-240
発行日 1993年3月25日
Published Date 1993/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900766
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
小さな赤ちゃんが横たわっている—可愛らしい2匹のクマさんのパッチワークをあしらったTシャツを着て,白いソックスをはいて。反対側のページにはその小さな手形がひとつ。アメリカの写真家ビリー・ハワードの写真集『おそれずに人生を—エイズ患者からのメッセージ』(講談社刊)はこの写真で始まる。このベイビーTは病院で生まれ,そこから一歩も出ることなくこの世を去った。
全部で60人のエイズ患者の写真とそれぞれ自筆の言葉。ひとりとして有名人などいない。みんなごく普通の人たち。迫りくる死を目前に,彼らは静かに私たちを見つめ,最後の命をこめて私たちに語りかけてくる。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.