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‘対象’の把握—その一側面としての‘生活’をどうとらえるか[1]
小板橋 喜久代
1
1埼玉県立衛生短期大学看護科
pp.315-320
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907443
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はじめに
WHOによれば,看護とは‘人命を守ることを基本とし,健康・不健康を問わずすべての人々を対象として基本的な生活上の必要性を専門的にとらえて健康上のケアを行うことである’とされている.また日本看護協会によると,看護とは‘健康・不健康を問わず個人または集団の健康生活を保持増進し,また健康への回復について援助することである.すなわち病態生理を十分理解し,正しい判断をもって人間のもつ生命力・体力を守り生活環境をよい条件に整えて社会的精神的因子などによる背景を理解して日常生活に適応させ,早期に社会に復帰できるよう支援することを目的とする’(いずれも傍点筆者)ものであるとされている.
後者の定義は前者の定義をより詳しく述べたものであり,本質的には同じものであろうが,ここで特に注意したいのは,両者の中に‘基本的な生活上の必要性’とか‘健康生活を保持増進し’‘生活環境をよい条件に整え’‘日常生活に適応させ’など,‘生活’という用語が頻繁に出てくる点である.
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