私の発言
初めての臨床看護婦—看護観にそった看護の実践を目指して
正村 啓子
1
1熊本大学医学部付属病院第一外科
pp.521-526
発行日 1978年9月25日
Published Date 1978/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907241
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看護観をもって臨床へ
臨床へ出たのが去年の4月である.私は学校を卒業してからこれまで5年間,看護教育にあっていたため,臨床へ出るということはかなりの決心であった.これまでに何回も臨床へ出ようと思ったが,そのきっかけがなく,また,‘臨床へ出るなら,自分なりに看護観をしっかりとつかんで出なければ,何年臨床にいても同じですよ.しっかりと看護観をもっておれば,1年間ででも一人前の看護婦になれます’という私の尊敬する先生の言葉が,私の心の中に強くあった.その先生が長い間大学において基礎教育を受けられたのなら,私はそれ以上の期間が必要だろうと思った.看護教育という大切な仕事に携わりながら,生徒とともに看護について学び,そのころは,1週間のうちの2日間は実習病院での実習指導のための研修が許されていたので,臨床との結びつきをもちながら,看護について学習を深めようと、長い気持ちで取り組んだ.
その実習病院は,病床数200床くらいの,市立のそんなに大きな病院ではないが,看護の向上を目指してたいへん努力していた.毎月1回もたれる学習会では,ある症例を選んで看護計画をたてながら実践し,まとめた資料をもとに検討しあい,また,さらには、毎年8月になると1年間の学習をレポートにして,中央から講師を迎えて指導を受けていた.幸いなことにその講師は,私の尊敬している先生で,毎年同じ先生であった.
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