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研究のまとめ方と発表の仕方(その2)
品川 信良
1
1弘前大学医学部産科婦人科学教室
pp.341-350
発行日 1978年6月25日
Published Date 1978/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907217
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VI.研究者の資格
‘研究心’をもつことはだれにでも許される.また,小さな植物についての簡単な研究などならば,だれが行っても構わない.しかし,その研究を行ったものが,いつも‘研究者’としてしかるべき学会や社会などから認められるかというと,必ずしもそうはゆかない.またその‘研究’が,いつもそれ相当に評価されるとも限らない.
例えば,医学部はおろか,中学校しか出ていない実験助手が,長年医学研究機関において実験の助手をやっているうちに,実験の実技はおろか,医学の理論にも精通し,すばらしい新知見を得たとする.彼のこの発見は,医学部卒業者によってなされた多くの医学博士の学位請求論文よりも,優れた内容でさえあり得る.しかしそれでも彼は,例外的な配慮が行われない限りは,医学博士にはなれない.というのは,‘彼には学位請求の資格はない’と一般に評価されているからである.‘医学博士’に関する限り彼は,多くの場合,‘研究者’としては認められていないのである.
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