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医師が患者になるとき
神谷 美恵子
1
1精神科医
pp.255-259
発行日 1975年5月25日
Published Date 1975/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906880
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1973年の秋および1974年の秋に約1か月半ずつ入院生活を送ってみて,いろいろなことを考えさせられた.病気は心臓血管系のものだったので,私の専攻する精神医学関係の事柄とはやや離れた経験が多かったが,重複するところもかなりあった.それに広い意味では医師対患者,看護婦対患者の問題は精神医学に属するものと言ってもよいのであろう.なるべく患者らしくおとなしくしていようと心がけながらも,私の心の眼は毎日あらゆるものに対して深甚の興味をもって注がれていた。患者としての自分.医師を患者に持つ医師の立場のむつかしさ.そして看護婦さんという存在が患者にとってどういう意味を持つか,ということ.—こうしたことを常に考え続けさせられた.その一端をここに記してみよう.
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