Japanese
English
紹介
早発性痴呆をめぐって
Historical Sources of Dementia Paraecox
神谷 美恵子
1
Miyeko Kamiya
1
1津田塾大学
1Tsuda College
pp.155-160
発行日 1970年2月15日
Published Date 1970/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201583
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I.はじめに
ブロイラーが精神分裂病という概念をこしらえてから,すでに60年になろうとしている。1911年に彼が“Dementia praecox oder die Gruppe der Schizophrenien”(イタリック筆者)というモノグラフィーを著したとき,彼みずから次のように記している4)。「Dementia praecox(以下D. p. とする)の概念全体がクレペリンに由来する。またわれわれは,個別症状のまとめかたと,その特徴づけをも,ほとんど彼にのみ負っている。……この概念の発生地はクレペリンのPsychiatrie第5版である」。
今日,精神分裂病の概念は,依然として有用ながら,その輪廓は,いろいろな方面から切りくずされつつあるようにみえる。このさい,その前身たる早発性痴呆の概念が,どのような源泉から,どのように形成されていったか,を通覧してみるのも,"認識論的反省"の索材として,役立つかも知れない。
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