教育の眼
映画で外国を学ぶ
佐藤 忠男
pp.228-234
発行日 1974年3月25日
Published Date 1974/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906764
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日本人論というのが盛んである.日本人論とは,日本人が自分自身を知ろうとするひとつの努力であると言えよう.自分自身を知るということは大切なことであり,また,興味の尽きないことである.しかし,われわれは,ただたんに日本人とは何か,ということを知るだけでなく,外国人についても知る必要があると思う.比較しなければ,日本人の特質というものも結局は分からないわけであるから.そして外国人を知るためには映画が手っとり早いと思う.
もちろん,映画は現実をそのままに写し出しているわけではない.一般に映画は,現実を美化し,理想化して描き出す.だから,現実そのままではないが,その国の人々がどういう方向に自分自身の理想を見い出そうとしているかということを描き出しているものとして見れば,そこに,日本人とは違った思想や感受性を見い出すことができるのである.その意味で映画は,比較人間学の生き生きした教材として用いることができる.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.