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看護とは何か—看護学構築のための基礎作業への一私見
大浦 猛
1
1東京教育大学教育学部
pp.697-703
発行日 1973年11月25日
Published Date 1973/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906721
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Ⅰ
私は縁があって昭和24年ごろから,当時厚生省看護課や公衆衛生院看護学部門や日本赤十字病院付属幹部看護婦教育部などにおられたかたがたと交わることになり(最近はおつき合いも少なくなったが),それ以来‘看護’の問題に対する関心はずっと持ち続けてきたつもりである.そしてその関心は,専攻する教育学を幅広くとらえたいという私の気持ちとも結びついていた.
ところで,看護の分野の指導者たちが戦後一貫して努力してきたことの1つは,看護教育の充実であった.私ども教育学専攻者がこの世界の人々と交わるようになったのも,そのような機運がもたらした現象の一つである.そして看護教育を充実させるということは,おのずから看護に関する高等教育の成立を含み,それはまた看護についての諸理論を,‘学問’とよび得るほどのものに組織してゆくという課題を生むことになった.とくにそれは,東大医学部の衛生看護学科を中心とする大学や短大の教壇に立つ人々が担わなければならないものである.
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