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琉球大学保健学部の発展の中から
橋本 秀子
1
1琉球大学保健学部保健学科
pp.704-711
発行日 1973年11月25日
Published Date 1973/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906722
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はじめに
赴任以来,復帰をはさんで2年,沖繩にはさまざまな出来事があった.その中で私はいろいろの経験を重ねたが,琉球大学保健学部における看護教育は,私にとって本来的な看護教育のあり方を考え直すのに,最も基本的な経験といえるであろう.今私が経験しているのは看護大学で行われる教育ではなく,保健学部,保健学科の中で行われる看護教育であるという点で,従来の看護教育と異質のものとみなされる.このカリキュラムに関しては,近く“保健の科学”誌上に発表する予定であるが,学生は看護を専門的に志向し入学するのではなく,コア・カリキュラムの途中から分岐されるしくみとなっている.その意味では,私の長い看護教育経験の中でも,東大衛看の経験に近いが,それよりも更に総合性の強い,全く初めての看護教育形態であり,医学教育機関をもたない沖繩の新設保健学部の中で,その展開を図るには,当然のことながらかなりの困難を伴ったのである.しかし,この経験が私に,新たに,看護教育について考える機会を,きっかけをつくつたのだともいえるであろう.しかし,残念ながら筆者にとってまだ検討しなければならない点も多いので,今直ちに教育論的にまとまった見解を発表することは差し控えたいと思う.したがってここでは,最近看護教育について気づいたこと,考えたことをカリキュラムの展開を中心に率直に述べてみたい.
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