教育技術解説・10
個性の伸長・2
長谷川 栄
1
1新潟大学教育学部
pp.677-681
発行日 1973年10月25日
Published Date 1973/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906718
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I.望ましい個性
前回は,個性を伸ばすという問題を取り上げ,主として個性の概念を検討して,生徒のあるがままの個性の把握の方法について述べた.まず,個性の伸長はひとりひとりを生かすという教育の根本精神の自覚から生まれてくることと,次に,個人間差異よりも個人内差異により多く着目して,生徒を全体として理解すること,さらに,生徒の日常の言動,危機的場面の言動あるいは生徒の特徴的印象などを手がかりにして,その背後に働いているものを総合的に解釈すること—これらのことについて明らかにした.
前回に残しておいた問題は,一定の個性を備えた生徒に働きかけて,彼をどんな個性的人間にまで育てようとするか,ということであった.それは,望ましい個性とは何かという教育の目的にかかわる問題である.したがって,これは‘目的としての個性化’とよぶことのできる問題である.この問題に答えることは難しいが,これを避けて答えないというわけにいかない.
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