教育技術ゼミ
教育技術と統計学
小栗 貢
1
1東邦大学
pp.152-155
発行日 1972年3月25日
Published Date 1972/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906565
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1.はじめに
これまで,教育技術上の様々な有益な問題が,沼野先生によって展開されてきた.それらは,いわば,行動主義心理学の立場からのマクロな視点による論議であって,読者は大きく方向づけられ,動機づけられたことと思う.
そこで今回より視点をミクロな,計量的な立場に限定して,沼野先生に代わって小栗が担当することになった.それは主として,教育研究活動への統計学の応用である.むろん,統計的手法以外にも,役立つ方法・技術は多々ある.ことに,教育や心理の領域内で,独自に開発された因子分析法やテスト理論での技術は見逃がせないトピックであろう.しかしながら,因子分析法にしてもテスト理論にしても,あるいは教育以外の領域で開発された技術であろうがなかろうが,それらの多くが共通部分としてもっているのは,統計的技術である.少なくとも統計的な,確率論的な考え方が大きな支えとなっているのである.したがって,われわれの教育研究活動にとっても,その活動のプロセスから統計学の位置を削除しうる理由や,それに代わるものはないといってよい.
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