本との対話
—福地幸造 著—落第生教室
菅 龍一
pp.40-43
発行日 1971年8月25日
Published Date 1971/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906499
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福地コムーナ誕生
この教室が生まれたのは,著者が兵庫県の湊川高校(定時制)に勤めていたとき,3年生から4年生へ進級する生徒の中から24名の大量落第生が出たからである。これら生徒たちの多くは,学校でも札つきのゴンタクレであり,被差別部落や朝鮮人生徒が含まれていた。
2日間10数時間の職員会議で,著者の落第生を集めた特別の学級を作ろうという提案はもみにもめる。この教室を作ることについて,教師たちは〈差別である〉〈劣等感をもつ〉〈他の生徒との対立がおこる〉〈そこまで,なぜ世話しなければならないか〉〈自信がない〉〈暴力教室になる〉という理由で反対し,生徒会も差別扱いではないかと反対する。しかし著者は"この生徒たちを放ったらかしておくことも差別なら,これらを一教室に集めて何とかしようということも差別だ。そこまでわしらは追いこまれているのだ。
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