特集 産婦人科手術のポイント
IV.手術の適応と術式の選択
造腟術の選択
秦 良麿
1
1岩手医科大
pp.930-931
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205280
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造腟術の対象となるものは通常腟欠損症Aplasiavaginalis (Müller-Rohitansky-Küster-Hauser syn—drome)であるが,時にはTesticular feminization(Morris) syndromeにも行なうことがあるし,アメリカでは子宮癌治療後の腟の短縮を補う目的でも行なわれている。しかし本稿では腟欠損症の場合に限つて述べることとする。
本症に対する造腟術施行の可否についてはいまなおいろいろな見解があるが,一般的には患者の精神的苦悩をやわらげ,性交を可能にして結婚生活への希望を与えるものとして,本人が希望するならば行なうべしということにおちついているようである。しかし子宮はきわめて痕跡的に認められるにすぎないから,もちろん依然として無月経であり,妊娠できない(例外的に子宮の存在する例は別として)ことを十分納得させておくべきである。
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