発言席
私達の幸わせな老後のためにも
宮本 克子
1
1岩手県九戸郡軽米町役場
pp.897
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206909
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老人家庭奉仕員のご帰還。「もう来なくていいと言われなかった?」と迎える側の第一声。続けて来てほしいと言われたとの返事にホッと一息。事の起こりは,福祉事務所長が生活保護のケースワーカーと老人夫婦世帯を訪問した後に「おじいさんは10年もお風呂に入っていないから,ぜひ風呂に入れてあげたい。入浴サービスを受けさせてはどうか」と言ったことからだった。それからケースワーカーの奮闘が始まる。しかし,いっこうに進展する気配がない。
4月から行政の窓口になったばかりの私も一緒に訪問してみる。65歳を過ぎたとはとても見えないおばあさんが,10年も寝たきりのおじいさんの世話をしながら菜園を作っていた。おじいさんの肌は,暑さ厳しい今年の夏でもさらっとしていて,褥瘡もない。まめに世話しているのがよくわかった。好きでもないお風呂に無理して入れたり,二人を離して老人ホーム入所を考えるのは必要ないと思えた。ただ保健婦さんの訪問は年1回というのと,おばあさんは元気そうに見えていてもリューマチがあるというので,それではお手伝いする人がいれば清拭するのも楽になるのでは,と話す。おばあさんもそれならば,となって初めの場面へ続く。
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