特集 教務への期待と提言
論稿
臨床から教務へ
教育方針の貫徹が先決—実力のなさを日々感じながら
御厨 幸子
1
1国立嬉野病院
pp.35-37
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906154
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はじめに
いろいろな事を学び,考え,教えられて過した学院を卒業し,希望に胸ふくらませて就職しました。時間の経過は早いもの,二年目を迎えて私は何を知り得たのでしょうか?
今反省する機会を得て,先輩や,友の話を聞きながら何を学院で学んできたのか。そしてナースとなった今,私は何をしているのか疑問に思います。看護婦になる事,それは人それぞれによって考えは違うと思いますが,とにかく私は一般にいわれているように白衣に憧れたのではありません。女としてこれからの社会に生きてゆく時,男性の力をかりず,しかも男性と同じくらいの職業意識を持ち,生活力を得てその上,女としての力を発揮するのは看護婦以外にないと思いました。事務員や教員など,女性の働く範囲は男性よりも狭いとはいいながらも,割と手近にあります。しかし看護婦は(今では看護士という名のもとに男性も入ってきていますが)男性におかされない,女性だけの仕事,女性だからできる仕事だと思います。この考えは学院に入学してからも,卒業した今も,まちがっていない事を知りました。病床に臥す人々の手足となり,不自由な人の手助けをし,一日も早く健康な社会へ復帰していただきたい,病院を心のオアシスにしたい,こんな希望を持ちながら,私を育てて下さった方々の好意に甘えて,実習した場を職場に選びました。
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