明日の検査技師に望む
自分自身の技術を磨くことが先決
佐々木 匡秀
1
1高知医科大学臨床検査医学教室
pp.1370
発行日 1990年10月1日
Published Date 1990/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900399
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医療費高騰の陰に
わが国の医療費が,19兆円を突破したのは周知の事実である.
これに対して,厚生省は医療費抑制の手段の一つとして,臨床検査削減の方針を打ち出した.その煽りを食ったのか,全国に検査技師数削減の風潮が出始めた.事実,小規模な医療施設では,技師を全員解雇して検査を全部検査センターへ鞍替えするところが増え始めてきたのである.このような現象には,優秀な検査技術と迅速な検査を看板とする検査センターの出現が拍車をかけているかもしれないが,それがすべてではないようである.技師を全員解雇したいきさつを詳しく調べてみると,そのほとんどの理由に,技師による臨床検査のサービスがそれほど診療に役立っていなかったことが挙げられる.技師がいいかげんに検査をし,データ管理も不完全で報告値がバラつき,その検査結果を手にした医師が,検査とはこの程度かと誤解したことも見逃せない事実である.
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