特集 大学における看護教育—高知女子大学衛生看護科
女子大家政学部の中の衛看
笹原 邦彦
1
1高知女子大学家政学部衛生看護学科
pp.36-41
発行日 1969年3月1日
Published Date 1969/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906137
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—衛生看護学科設置前後の高知女大学の学内及び学外の事情—
昔から高知県は,ことわるまでもなく,日本の辺地であり,貧乏県であった。国鉄の線路は最も短かく,生活保障の受給率は,炭坑問題をかかえている福岡県と北九州市を除けば,これまた高知県が日本一である。そんな哀れな高知県の県税で,ほとんど全部をまかなわなければならない県立の高知女子大学が,県政担当者からも一般県民からも,数多くの問いが投げかけられ,それに対する答を用意しなければなかっただろうということは,誰にでも容易に想像できることだと思う。
「貧乏県に県立の大学はぜいたくではないか。」これが第一の,そして最大の問いであった。この問いは,ただ口先で答ればすむという程度のものではなかった。高知県は,すでに財政的に維持できないという理由で,女子大学の前身である高知県立医学専門学校を廃校にしていたのである。その上ある意味では,ぜいたくな大学でもあった。
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