特集 私の目指す教育者像
論稿 次代の指導者育成が目標
成田 静子
1
1中央鉄道病院高等看護学園
pp.16-17
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905998
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きっかけ
私は教育者というものがあまり好きではありませんでした。というよりも,むしろ先生タイプといわれる,いわゆる学校の先生タイプが好きになれなかったといったほうがよさそうです。もちろん,ものごころついてから,ずっとというわけではなく,私が看護学校に受験するころに描かれていた先生は,いつもじみな服装をし,少しでも目につくようなかっこうをすると,すぐ父兄に非難されたりで,全く個性のない,同じようなタイプができ上がっていくように思えたのです。このように,単純な理由からですが,そのころ,ただ一人大学を卒業して来たばかりの美しい先生が,いつもすてきなお洋服で通って来られるのをみて“いいなァ”とながめていたものですが……。
それがまわりまわって立場こそちがいますが,先生といわれるお仕事をお引き受けするようになった直接の動機は,とにかく「やってみたい。」という一語につきます。この気持の奥にあったものはいろいろありますが,一つには,身につきつつあった看護することの考え方を後輩のために生かしてみようと思ったこと,在学中に感じた多くの矛盾,卒業の時に感じていた看護することへの失望,また卒業後に感じ,学びえた看護することへの希望,喜びと苦しみなどを少しでも役立ててみたいということでした。
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