教育の時代
次代を担う若者の教育
落合 国太郎
1
1名古屋市立高看学院
pp.1
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906223
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アポロ11号により,人類初の月旅行を達成したアームストロング船長は,地球へ帰える直前に,「この偉業に成功したのは,多くの人々の協力と,神のお助けによる」と謙虚な語調で挨拶された。立派な言葉である。
わたしは大学から,看護学院の学院長または講師として,講義をしたことがある。多くは女子教育であった。大学や女子医専の講義は,専門知識の切り売りであったが,看護学院では学術講義のほかに,人づくりの講義もしてきた。昔から十年ひと昔といわれるが,日本は戦後わずか20余年,科学と経済両面では世界のトップクラスとなったが,精神面ではやや立ち遅れの感があるという,今の若者はしょうがないといい,道義も地に墜ちたといわれる。しかしこのようなことは,私が若かった頃にもいわれた。ただ昔と今では内容がちがうだけである。叱ったり苦言を述べたりすると嫌われる。今の指導者は嫌われるのがいやで,護身術といおうか,分別もなく若者の意を迎えたり,おだてたりする人がないとはいえない。
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