特集 進学コースを考える
准看護婦養成の立場から進学コースにのぞむこと
田中 幸
1
1国立米子療養所附属准看護学院
pp.56-58
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905590
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はじめに
昭和29年に当時母校の病院に就業していた頃,国立のある療養所准看護学院卒業生が始めて採用される事になった。もともと准看制度ができた時,卒業まもない私たちは看護の質的低下を来たすものとして,大いに憤慨したものであったが,「どうしても採用とあらば業務区分を明確化し,ユニホーム,キャップも別にしてほしい」という意見を出した。その時,院長から「そんな小さい了見でどうするのか。よくても悪くてもすでにでき上った制度ではないか。それを立派に育て上げることが君たちの役割ではないか」と諭された時,全く返す言葉もなかったことを今でもはっきりと記憶している。
それから4年ばかりたって准看護教育にたずさわるようになって以来5年。それでは准看として最高のものをという目標でできる限りの努力をしてきたが,ふり返ってみると残念なことに青年前期の情緒の不安定な,正しい物事の判断力,理解力も熟されていない背景では,所詮,患者のニードを把握して満足のいく総合的な看護は無理である,という結論しか生れてこない。准看として一体どこまでがその極限なのか。「准看は准看として学科は浅く実習を主としてやればそれでよいのだ」という意見もある。しかし現在の法律において医師または看護婦の指導のもとにあれば業務の区分ははっきりなされていないので,地方の中小病院ではすでに准看で主任業務を行なっている現実は想像以上に多いのである。
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