特集 看護教育界今年の展望
助産婦教育の変遷と未来への期待
岡本 ムツコ
1
1岡山大学医学部附属助産婦学校
pp.38-40
発行日 1966年1月1日
Published Date 1966/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905552
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助産婦教育の変遷
我が国における助産婦教育が組織的に行なわれるようになったのは,明治初年,即ち19世紀の末期になってからである。それまでにも江戸時代からすでに産婆と呼ばれる一つの職業はあったが,特に一定の教育を経てなるのでなく,経験の積み重ねと慣習の踏襲による,きわめて程度の低いものであったらしい。
明治になって新政府は産婆取締令を発令し,これら産婆の業務に対する規制を行ない,産婆の制度化へ一歩踏み出した。その後しばらくは地方の取締規則のままに経過したが,これにより就業産婆に対する再教育の必要性が生じたのは勿論,産婆育成が各地で開かれるようになった。しかし,その教育は単なる専門学科の教授と徒弟的環境の中での経験の積み重ねによって技術を覚える産科の技術者養成ということで,それぞれ自由に行なったようである。
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