特別記事
助産婦の活動に期待する—助産婦をめざすあなたへ
藤田 八千代
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.312-316
発行日 1987年4月25日
Published Date 1987/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
少産・高教育志向の時代を迎えた今日,助産婦の活動内容も,従前のままでは対象のニーズを十分充足し得ないであろうことは自明である。もはや社会は急速に変化し,その変化が妊娠・出産を体験する母性に影響しないはずはなく,むしろその変遷した社会が産んだ母性が,活動する助産婦の前に出現し援助を求めている,といってよい時代になった。それゆえに,母性の出産ニーズも変化し,育児観も,その前に結婚観も変わり,そのために母子保健を揺るがす問題も惹起されている現状でもある。したがって,助産婦は今後どのように母性の社会的ニーズに応えてゆくべきか,そして応え得るかを真剣に論じ合わなければならないときが来ているというべきであろう。その論点を明確にし助産婦活動の進路を見出すために,どこにどのような変化があるのかを具体的にとらえておく必要があると思う。また一方では,本質的に変わらない部分,むしろ学びとってゆくべき長い歴史のなかで培われた助産婦道がある。それは生理機能を阻害することなく,自然分娩を前提として,安定した状況下で新しい生命を得る一連の支援活動である。さらに加えるならば,熟達した助産機能と精練された援助技術がある。これらは近年とみに未熟化し,十分継承しきれていない恨みを残している。
この双方に視座をおきながら,今後の助産婦に期待する私見を開陳したいと思う。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.