研究
看護症例研究指導に関する一考察
藤原 宰江
1
1岡山県立高等看護学校
pp.48-52
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905417
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はじめに
私が看護学生の教育という任についてから早や4年の月日が流れた。看護教育の技術について特別な指導や訓練を受けたわけではなく,今まで何年かの間看護実務経験があるというだけの理由で引受けた仕事であるだけに,一ヵ月毎,一年毎にそのむずかしさがわかり,これではならないというジレンマに苦しみながらたどってきた4年間でもある。その間に私は私なりに看護教育のあり方について考え,漠然としたものではあるが2,3の見解を得たように思う。
戦後新しい制度で看護婦の養成が始められた昭和23年ごろと今日では,その教育内容にもずいぶんと開きがある。16年の長きにわたってその変遷の有様をつぶさにみてきた私には変貌を遂げる看護界の鼓動が痛いほど胸に迫ってくる。看護の内容は年とともにその広がりと深さを増し,現在では患者中心の看護・チームナーシングなどの言葉が実質を伴って広く斯界に滲透するようになった。このようなときに社会の要請するような科学的・論理的基礎づけを持って包括的看護の行なえるナースを養成するために,看護学校はあげてその訓育に努力する使命を課せられている。私どもの学校でもその目標を達成するために,学生に対して看護症例研究という自己活動を豊富にとり入れる教育方法を採用している。
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