青年心理学講座・9
職業の問題
辰見 敏夫
1
1東京学芸大学
pp.41-44
発行日 1964年12月1日
Published Date 1964/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905391
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はじめに
前にもちょっとふれたが,現在のアメリカでは,中学卒,高校卒は就職がなくて困っている。中学,高校の卒業生は,その就職をするさいに,どこといって専門的なものを修得していないから,極端な意見であるが,彼らのできることは,すべてベルトコンベヤーやいろいろな歯車のような機械がその役を果たしてしまうというわけである。だから企業家は,はじめに多少の費用がかかっても,人間をやとっておくよりは機械の操作のほうが経済的にも管理の上からもよいわけであるから,いわゆる合理化とともに,中卒,高卒の人をやとわなくなるというわけである。
このことは,日本の企業についても同じととがいえるわけであって,現在のところ中卒,高卒は飛ぶように売れているけれど,企業の合理化がすすむにつれて,中卒,高卒を大企業はやとうことをだんだんやめていくだろう。今からこういうことをいってもなんにもならないし笑われるばかりであり,青年心理となにが関係があるかといわれてしまうのがオチだろうと思うのでやめにするけれど,こういう事実は認めなければならない。
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