教育のひろば
医は仁術ということ
村井 実
1
1慶応大学
pp.1
発行日 1964年12月1日
Published Date 1964/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905383
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去る3月21日の朝刊に,「なだれで二重遭難」という見出しの記事が載せられていた。記事の内容は,長野県上高地の釜トンネル入口で千葉工大山岳部の9人パーティがなだれにおそわれ,ひとりが重傷を負つたが,この救助を頼まれて,上高地の旅館からスノーボートをひいて現地に向かった慶応大学医学部職員の4人のパーティが,釜トンネル入口でなだれに流され,ひとりな除いて3人が行方不明となったというのであった。
医療関係の人々の中には,この事件をおぼえている方々も多いだろうし,結局は死体となって発見されたI君はじめ3人の青年たちの生前を知っている方々も少なくないであろう。私もまたこの青年たちと親しかった者のひとりであり,それだけにこの朝刊の記事を読んで深い感動におそわれずにおれなかった。
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