連載 私の一冊・39
“医は仁術”の成長物語
長井 苑子
1
1京都健康管理研究会中央診療所/臨床研究センター
pp.794-795
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101009
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“医は仁術”の背景
医療関係の仕事につくことについて,昔から“天職である”とか,“仁術を施すべき”であるとか,表現は異なるけれども古今東西に格言や作品があります。オスラー博士(Sir William Osler, 1st Baronet, 1849─1919)の「まれに癒し,時に支え,常に慰む」という医療者の病人への姿勢を表した表現は,たしかにいい得て妙ですね。
私は呼吸器病を専門とする医師です。なかでも,難病に向き合うことを中心に臨床活動を継続してきました。新しい特効薬やブラック・ジャックの外科手術のような恰好良い治療法とは無縁の,しかし,長い時間を病気とともに生き続けなければならない患者さんたちとの日々をこれまでに20年以上も継続してきたことになります。多くの患者さんを見送り,多くの患者さんに新しい知識,技術を少しでもかみくだいて説明し,それなりの希望をもって闘病していただくようにと願いながらの日々であったかと思い返しています。幸いに,欧米での臨床研究や,東西での臨床姿勢の差異を観察できる機会にも恵まれました。
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