特集 臨床実習指導
自分でのびようとする意欲をもたせた指導者—臨床指導をうけた私の経験
小林 富美栄
pp.2-7
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905372
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はじめに
看護教育をうけているときに,病院での実習の臨床指導を私がうけたのはこの度の留学の機会を含めて2度ある。最初の看護教育では,私は臨床指導をうけているなどとは全く知らなかった。学校の先生が監督しに来られるものと思い,なるべく見られないように叱られないように,うまくやれる場面をみてもらえるようにということを考えていたと思う。特に実習にはじめて出たころ,患者の清拭をしているところでスクリーンをちょっとあけて先生がのぞかれているのに気がついたときなど,ハッとして手もとがくるってしまったような記憶が残っている。実習がすすむにつれて,病院の主任や副主任,先輩看護婦さんに手伝ってもらったり教えられたりしながら,看護技術の新しいものの経験をつんでいった。そして,成績簿に実習の点数がつくことは知っていたが,それがどういう具合にそうなっていくのか知らなかった。それは,私にとって学習の進歩状態を評価するということよりも,成績をつけられるということへの関心であったと思う。
臨床指導について明確な知識を概括的に習得したのが10年前の留学のときで,カリキュラムについてのコースをとったときに付随的に学んだものである。
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