教育のひろば
愛の開拓者
古屋 かのえ
1
1国立東京第一病院付属高看学院
pp.1
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905220
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最近よく愛国心が問題にされ,新聞・雑誌にその見出しの記事をみるのであるが,私にはおよそ興味がない。よかれ悪しかれ誰でも自分を愛する本能をもつ人間である以上,愛国心は自然にある。外国で自分の国の国旗を見ればなつかしい。自分の国を愛しているからである。先頃の東京国際スポーツ大会に,依田郁子選手が80米ハードルに堂々外国選手を押さえて優勝した時は嬉しかった。東京オリンピックには日本の選手たちがめざましい活躍をして,優勝の金メダルをたくさんとってくれればいい,と日本人なら誰もがそう思っているにちがいない。国家という政治形態のある限り,この愛国心は必然にあるのである。
自分を愛し,肉親を愛し,隣人を愛し,郷土を愛し,祖国を愛する……この自らなる愛情,身近かなるものから愛する,これは愛情の自然の道すじだと思う。
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