特集 開拓保健婦
北海道開拓者の健康調査—開拓保健婦の立場から
北海道開拓保健婦一同
pp.31-38
発行日 1970年11月10日
Published Date 1970/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204791
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I.緒言
終戦後,離職した工員,軍人,引揚者などの帰農促進対策に端を発し,食糧増産の使命を背負った緊急開拓事業が国の施策によって昭和20年から開始された。このなかで本道の占めるウエイトはきわめて高く,戸数では全国開拓計画の5分の1である。また開拓地の土地条件は一般に悪く,面積は広大で災害には特に弱く,過去幾多の試錬を経ながら,苦難とたたかい,2度にわたる振興対策,あるいは離農村対策など必要な施策がつぎつぎ講ぜられ,農家戸数の減少にもかかわらず生産の拡大によって農業生産は年々着実な伸びをみせた。かくして開拓農家の北海道寒地農業につくした功績は大きい。さらに基盤整備もほぼ完了し,今や円満に一般農政に移行されようとしている。
振り返って,昭和23年入植者の生活と健康管理の目的をもって,北海道開拓保健婦開拓助産婦設置規則が制定され,なかでも開拓保健婦は本来業務は言うに及ぼず,社会資源の乏しいへき地において,急患の護送,困窮者の出産準備,花嫁の世話,家族計画,夫婦げんかの仲裁,市街地への連絡など,時には保健婦らしからぬ白眼視されながら,誰かがやらなければならないことと,あえて知りつつ,七面八皮の活躍を続けてきたのである。
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