特集 看護教育における教育課程研究
A,B両案についての感想
高橋 百合子
1
,
神谷 豊子
2
1東京逓信病院高看学院
2東京厚生年金病院高看学院
pp.28
発行日 1963年6月1日
Published Date 1963/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904388
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A案,B案ともに,各医療施設の負担と医療費の中で行なっている看護教育またともすれば設置者側の要求のみを目的とした現状と実態を打破した,非常にみごとなCurriculumだと思います。現実の中で「あか」にまみれ,看護教育の苦しさを苦しさとして定着感さえもっている私どもには,一年コースの若々しい方々がGroup作業で,よくぞここまで現実の問題は問題として十分にみつめられ,考えられ,さらに近代医療における看護婦の役割を十二分に将来発揮することのできうる看護婦学校を仮設されたことは,真にあっぱれなことであると痛感するとともに心より嬉しく思います。
Curriculum(臨床実習を含む)の構成と運営については,それを支えている諸条件(教職員数の問題,質の問題,学校予算,諸設備,教具教材,図書など)をあらゆる角度より細部にわたり研究検討されて教育目標にてらしあわせて実現するように考慮されています。〈看護〉を科学的に裏づける意味からも,その一例としてあげられることは,解剖生理が現在より以上に必要なること,心を持った患者を中心とした,よい看護ができうるようにまた患者に対して助力のできるように物理的な力学的な知識の必要性,栄養に結びつく生化学,対症看護,社会人である患者に対する理解,カウンセリング(面接技法),近代医学の発展に伴う看護などが展開されています。総合看護を行なう基底として,その基礎を育てるのが本当の意味の看護教育でしょう。
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