連載講座 基礎看護実習についての一つの試み
XIII.病室実習—東京大学医学部衛生看護学科基礎看護学講座
都留 伸子
pp.41-49
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904308
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基礎看護は,さまざまの情況下にあるさまざまの患者の看護を行なうにあたり必要な基礎的な知識,技術,態度の学習を目的として,臨床各科の看護の学習に先立って最初に行なわれる。従って一般に実習は主として実習室で行なわれ,実際の患者に接する前に知っておかなければならない事柄を学ぶよう計画されている。即ち,ここで取扱われる実習項目は,ベッド作り,清拭,注射などのようないわゆる一般看護技術に関するものが多く,正確な方法を理論的な裏付けをもつて学習することに主力が注がれている。
このような実習で学ばれた事柄は,後に実際の場で患者に看護を行なう上にどのように用いられるのだろうか。それは,患者のニードによっても左右されるであろう。また,その病室で採用している看護手順によっても変ってくることもあろう。従って,学ばれた技術の理論的根拠を十分に理解したうえで,実際の場面で,特定の情況下におかれた特定の患者に,これをどう用いてゆくかという応用の学習が必要となる。このためには,技術を学習すると同時に,これを適用する対象,即ち患者に関する学習が必要となる。看護が,患者のニードに基づいて行なわれなければならないという立場をとる患者中心の考え方からの看護教育が強調される場合,当然必要とされる学習である。
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