連載講座 基礎看護実習についての一つの試み
XII.罨法—東京大学医学部衛生看護学科基礎看護学講座
小玉 香津子
pp.49-51
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904295
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1)罨法の扱い
基礎看護では罨法を物理療法としてよりも,看護技術の中の安楽法(Comfort Measure)の一手段としてとりあげてきている。医師の指示がなくとも,患者の希望と看護婦の判断で,医師には同意を得て行なう場合を主とすることになる。この考え方は当初から変わらず今日に至っており,基礎看護で罨法を扱う理由でもある。したがって基礎看護の粋組の中では安楽という項に長らく含まれ,罨法技術については教室実習時間に実習書に基づくデモンストンーションを一通り行なっていた。
ところで看護の基礎的なものを理論化,あるいは体系化するという線に立ち,パーソナル・ニードをその基点にして,看護の対象そしてその方法までをそこに枠組しようとしてくると,罨法の扱いに一考が必要である。その場合の問題の根本は,パーソナル・ニードとして何々をとりあげるかということなのであるが,これはまったく別の問題であるからここでは触れない。しかしながら一般的にいって,看護でとりあげるパーソナル・ニードにはそれを満たす方法がある。たとえば「清潔」をニードと認めるならば清拭その他がそれにあたる。「排泄」のニードであれば便器・尿器の与え力,浣腸・導尿はそこにつながる。経管栄養法は「食」に結び得よう。
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