連載講座 基礎看護実習についての一つの試み
II.感染予防—東京大学医学部衛生看護学科基礎看護学講座
林 滋子
pp.45-51
発行日 1962年2月1日
Published Date 1962/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904150
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基礎看護の課程において感染予防をとりあげる場合,その方法は各種あると思われるが,実習に関して,当教室においては微生物学教室の援助を得て,一方法を中心に行ない,7回(7年間)を経過した。すなわち実習目標を,従来行なわれている感染予防の技術にしたがって単にその手順のみを習得熟練するというのではなく,あらゆる場面で自ら判断してよりよい感染予防の技術を行ないうるよう方向づけるという点におくことが必要であると思われる。このためには,われわれが日常行なっている感染予防の技術に関する実習を行なう際に,同時に細菌の存在をみとめながら行なうことが有効であると思われる。このような考えより,初期は各種手洗い後の手指の細菌の検出よりはじめたが,その後は管理面をとり入れることを試みている。
さて,感染を予防する方法を,(1)病原体の除去,(2)侵入経路の遮断,(3)個体の抵抗力の増強,とすると,実習としては,(1)においては消毒や滅菌に関する事項,(2)においては隔離に関する事項がとりあげられる。しかし,病院内感染も問題となっている今日では,従来病院などで行なっている感染予防技術が必ずしも適格な方法であるとは思えない。したがって,病院における感染予防対策として,現在行なっている感染予防技術の検討をとりあげること,すなわち管理面からの見かたも必要であると思われる。
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