VOICE
看護に関する一考察—ある手紙から
尾木 郁子
1
1高知県立安芸病院
pp.45-46
発行日 1962年6月1日
Published Date 1962/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904211
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「……略……先輩のいわれたことが身にしみてわかるころとなってきました。学院に入学して2年生ですが,ときに休みで帰っても友だちがいないような気がして面白くないのですね。
だって私のほうは病院という中に“井の中の蛙”のように育っているでしょう。だから外界のことがわからないのですね。またわかろうと努力もしてないのですけど………だから話題が全然異なるでしょう。とり残されたような気がして何か複雑な気持でわかりません…中略…毎朝ナイチンゲール誓詞を朗読しながら,いろいろなことを考えます。今の私にこんなことを朗読する価値があるのだろうかと思うと,朗読するのが苦しくなって黙っている時もあります。近ごろ自分自身に答を求めるのです。私にはたして,このクランケのためにこの処置をしているのだろうか……でも,その答は悲しいもの……クランケを治そうと思ってしているとは答えられそうにないのです。
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