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読者からの手紙
池田 清子
1
1電信電話公社高崎逓信診療所
pp.7
発行日 1958年4月10日
Published Date 1958/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201607
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- 文献概要
いつぞやのお手紙の御返事を遅ればせ乍ら申し上げたいと存じます.
事業場(工場)の保健婦業務と申しましてもその本質的なものは他の保健婦業務と少しも変るものではございません.唯事業場(工場)は企業体でございますので,生産向上のための労働力確保という事が非常に重大になつてまいります.と共に経済的問題を考慮に入れない保健対策はなりたたないのでございます.例えば電々公社では一人の結核療養者に対する諸経費(療養費,給与等を含めて)は年間約60万円といわれます.若し今全国で2,000人の療養者がいたとして年間では12,000万円となり,この額は優秀な設備をそなえる中都市の電話局が建つ程のものだということです.そこでそこに働く保健婦は事業場(工場)の営業方針(運営方針)に従つた動き方をするわけです,この動き方は非常にマチマチです,といいますのは事業場(工場)は夫々に異る環境や人員構成,作業方法や生産品等があり又災害や病気欠勤などの歴史などそれぞれの特色を備えております.保健対策として何んでもとり上げるというのではなく,その事業場(工場)にとつて最も重要な問題を施策として積極的に実施する方法がとられます.日本の実状から結核は何処でも最初に取上げた対策の様であり,今も引続き行われているのですが,近年では老人病,家族計画などと進み又職業病では硅肺など大きく問題にされております.
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