諸外国の教育事情
イギリスの教育
松井 一麿
1
1東京教育大学大学院
pp.34
発行日 1962年6月1日
Published Date 1962/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904207
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一般にイギリスの教育は,自由と多様性という観点から理解されている。これらは,学校の種類にも,教育の内容にも,教育行政の面にも見受けられる。
元来,イギリスには二種類の学校制度が並存していた。ひとつは,一般大衆を相手に宗教団体が経営していた慈善学校の系統のもの,もうひとつは,中流以上の階層を対象にしたパブリック・スクール(私立学校)の系統のものである。今から100年ほど前は,これら2種類の学校は,お互いにほとんど関係なく経営されていたが,国民を富まし,国家を健全にするにはなんとしても教育を発展させなければならないし,これまでのようにばらばらでなく統一された教育制度をつくらなければならないという考えが強まってきて,ここにいろいろな問題をもちながらも,公立学校制度がしだいにかたちづくられていった。
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