教材
日本近代女性史—第6回 女性の自覚と社会的進歩
福地 重孝
1
1和洋女子大
pp.627-630
発行日 1961年12月1日
Published Date 1961/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904119
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婦人参政への目ざめ
資本主義の進行とともに,女性は一歩一歩実質的に成長していった。ところで明治23年11月29日に,待望の帝国議会が開設されたが,この国会には,婦人の選挙権も被選挙権も与えられなかった。そればかりか国会開設に先だつ7月25日には,元老院によって制定された集会および政社法によって,婦人が政談演説会を主催することはもちろん,それに出席したり話したり聞いたりすることを禁じた。政党に加入することは,未成年者同様にしめ出されたのであった。女性に対する集会政社法の必然によれば,次に制定される衆議院規則にも婦人の議会傍聴は禁止される公算が強かった。
そこで,当時の有識婦人21名は,第1回の衆議院選挙直後,いちはやく中立系の政派大成会に働きかけ,「傍聴禁止反対」の陳情書を提出した。
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