講座
教師と精神衛生
重田 定正
1
1東大
pp.98-101
発行日 1961年2月1日
Published Date 1961/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903987
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はじめに
1960年は世界精神衛生年であった。顧みて去年ほど精神衛生の重要なことを思い知らされた年はない。これはまたいかに精神衛生がまだ非力,あるいは無力であるかを実証しているとも言えよう。
精神衛生とはそもそも何かということをここでは論じまい。それは専門書に譲ってかまわない。いずれにしても,精神衛生は,個人の精神の健康に関するあらゆる問題ばかりでなく,人と人との関係,いわゆる人間関係について,ことに情緒とか行動とかに焦点をおいた広い分野においてその存在理由を認められるようになった。精神医学・心理学・社会学・教育学などは,その学向的支柱となっている。いま,これらのいずれの学問の専門家でないにもかかわらず,精神衛生に関連する内容について述べようとするのは,これらの専門家ばかりでなく,その周辺に立っている多くの人人によって,あらゆる角度から精神衛生が問題とされて,いささかもかまわないと信じるからである。
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