連載 私の一冊・34
教師は「プロ」ではないのか!?
鹿毛 雅治
1
1慶應義塾大学教職課程センター
pp.276-277
発行日 2008年3月25日
Published Date 2008/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100890
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■「プロ」としての教師
学校の教師は「プロ」である。これは当たり前のことのようにも聞こえるが,医師や弁護士といった他の専門職と比べると,教師という仕事は誰でもが比較的容易に務めることができると思われがちである。その証拠に,校長や教諭として社会人を登用しようとする動向が挙げられよう。「社会人」(言外に「教師は社会人ではない」という興味深い前提を含んでいる)としてのキャリアが,教師としての経験の積み重ねと同等,もしくはそれよりも優れたものとして意味づけられているという現実があるのだ。
筆者は,これまで約15年間にわたって学校の教師たちと一緒に授業づくりの仕事に取り組んできたが,教師こそ「プロ」と呼ぶにふさわしい奥の深い仕事だと確信している。多少の研修を積んだからといって,誰でもがすぐに教師の仕事ができるわけではないのだ。それにもかかわらず,世間で(場合によっては教師たちにも),教師という仕事が比較的容易な専門職であると思われているのはなぜだろうか。
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