特集 病態生理学・成人看護論・老人看護論の連結講義を試みて
連結講義の発展性
老人看護論の視点からみた発展性
八島 妙子
pp.538
発行日 2001年7月25日
Published Date 2001/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903861
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老年期は学生にとって想像のつかない世代である.2年次前期の老人看護論の授業で,学生に高齢者との関わりについてインタビューしたところ,現在あるいは入学前まで祖父母と同居していた者は2割であった.また,本学では2年次後期に生涯発達課題実習(小児期・成人期・老年期)という実習を組み入れており,そこで健康な高齢者と話せる機会を持っている.実習を終えての感想から,多くの学生は「高齢者は弱い存在である」というイメージや「高齢者と何を話したらよいか」という不安を持って実習に臨んだことがわかった.しかし,実習後には高齢者が学生に対してさまざまな心遣いをしてくれたことへの感謝や安心感に変わり,高齢者の話を聞くことで発達段階の理解を深める機会になった.
老人と接するという体験を通して,学ぶことの大きな効果が得られたように,対象者の健康段階は多岐にわたること,それぞれ発達過程があることを,事例を通して理解させることのメリットは大きい.一事例を,発達段階に応じて状況設定を変化させることにより多数の個別化した人間像ができ,学生が「人」を理解し,援助を発展させて考えることが可能になると考える.さらに,家族,例えば配偶者の健康問題も高齢者世帯では起こりうることも加えると,家族という集団への看護も考えやすい.また,疾病をもつ高齢者が,その人その人のパーソナルヒストリーを持っていることの理解を深めることなどが可能になる.
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