特集 老人保健活動の評価
老人保健活動の評価の視点
高崎 絹子
1
1埼玉県立衛生短期大学
pp.267-278
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207721
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はじめに
老人保健法第2次5か年計画も3年目を迎えようとしているが,この計画実施の説明にあたっては担当の行政官から事業の評価を明確にしてほしい旨がとくに強調された。評価の具体的な内容は示されなかったが,保健事業を実施する際には,何のために評価するのか,何を評価するかが,最も重要な点である。さらにつけ加えるならば,誰が誰のために評価するかも問う必要があろう。
ここで,「評価」という言葉に含まれる2つの意味に注意する必要がある。1つは,アセスメント(accessment)であり,活動を行うまえの状態を調べておくことで,査定という日本語がこれにあたる。2つは,活動の結果として得られた成果を調べることであり,狭義の評価(evalu-ation)の意味である。日常の業務に追われる保健婦は,とかくこの事前のアセスメントを怠り,結果として活動の評価が得られないまま,次の事業に移っていくことが多い。あるいは,形としてみえやすい事業の実施回数や参加人数など,量的な結果の評価にとどまり,常にこれは違うという不全感に悩まされるかである。
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